■ 結論
治療中に味の感じ方が変わると、「これまで好きだったものが食べられない」「何を食べればいいのかわからない」と不安になることがあるかもしれません。そんなときは、無理をして食事を整えようとしなくても大丈夫です。つらいときは、今の自分が「少しでも食べやすい」と感じるものを大切にすることが、心と体をいたわる第一歩になります。
■ このようなときに起こりやすい体の変化
治療の影響や体調のゆらぎによって、味覚に変化が出ることがあります。たとえば、甘みや塩味を感じにくくなったり、苦みや金属のような味を強く感じたりすることがあるとされています。また、においに敏感になったり、口の中が乾きやすくなったりすることもあります。こうした変化は一時的な場合もあれば、日によって感じ方が違うこともあり、個人差が大きいのが特徴です。
■ 食事で意識したい3つのポイント
「おいしい」よりも「食べやすい」を大切にする
味覚が変わっているときは、以前と同じおいしさを求めると、かえってつらく感じることがあります。無理に好物を食べようとせず、「今日はこれなら口に入れやすい」「少しなら食べられそう」と感じるものを選ぶことが、気持ちの負担を軽くする場合があります。
味つけを固定せず、少しずつ調整する
濃い味が合わない日もあれば、逆に薄味だと物足りなく感じる日もあります。調理の途中や食べる直前に、だしや酸味、香りを少し足してみるなど、小さな調整を重ねることで、食べやすさが変わることがあります。
食事の形や温度を変えてみる
同じ食材でも、温かいものより冷たいほうが食べやすいと感じる場合があります。また、噛むのがつらいときは、やわらかいものやとろみのある形にすることで、口当たりが楽になることがあります。
■ おすすめの食材・食品例
味覚が変わっているときは、主張の強すぎない食材が役立つことがあります。ごはんやうどん、食パンなどの主食は、比較的味の影響を受けにくいと感じる方もいます。卵、豆腐、白身魚、鶏むね肉などは、やわらかく調理しやすく、体に必要な栄養を補う助けになる場合があります。
また、酸味のある梅干しや酢、柑橘類のさっぱりした風味が、口の中をすっきりさせてくれることもあります。市販のヨーグルトやプリン、ゼリーなども、食べやすい選択肢のひとつです。
■ 簡単に取り入れられるメニュー例
調理に負担をかけたくないときは、シンプルなメニューで十分です。たとえば、だしをきかせた卵とじや、冷やしたお茶漬け、豆腐に少量のしょうゆやだしをかけたものなどは、比較的取り入れやすいことがあります。
市販品を活用するのも一つの方法です。レトルトのおかゆやスープに、食べられそうな具材を少し足すだけでも、無理のない食事になります。
■ 気をつけたいポイント
味覚の変化や食べやすさには、その日の体調や治療の状況によって大きな違いがあります。「昨日食べられたから今日も大丈夫」とは限りません。食べられない日があっても、自分を責める必要はありませんし、水分がとれていれば安心できる場合もあります。つらさが強いときは、食事量や内容にこだわりすぎないことも大切です。
■ まとめ
治療中に味覚が変わると、食事が大きな悩みになりがちですが、完璧を目指す必要はありません。つらいときは「今の自分に合うものを、少しでも口にできたら十分」と考えてみてください。食事の感じ方には個人差があり、変化の仕方もさまざまです。症状が強い場合や長く続く場合には、主治医や管理栄養士などの医療専門職に相談することで、より安心できるヒントが得られることがあります。無理をせず、ご自身のペースを大切にしてください。
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※本記事は、看護師・管理栄養士である加藤知子が、
医療・栄養の専門的知識をもとに監修しています。
