この記事では、抗がん剤治療中に食欲が落ちたときの負担を軽くする食事の考え方と、実際に取り入れやすいメニュー例を紹介します。
■ 結論
抗がん剤治療中に食欲が落ちるのは、めずらしいことではありません。無理に食べようとせず、「食べられる形」を探すことが大切とされています。
■ このようなときに起こりやすい体の変化
抗がん剤治療中や体調がすぐれない時期には、さまざまな体の変化が起こりやすいとされています。
たとえば、
・お腹が空かない、食べたい気持ちがわかない
・においや味に敏感になる
・口の中が荒れたり、飲み込みにくく感じる
・少量で満腹になる
こうした変化は、治療の影響や体力の低下、自律神経の乱れなどが関係している場合があります。ただし、症状の出方や程度には大きな個人差があることも知っておきたいポイントです。
■ 食事で意識したい3つのポイント
① 量より「食べやすさ」を大切にする
たくさん食べる必要はなく、一口でも口にしやすいことが大切とされています。温度やかたさ、のどごしを工夫すると、負担が減る場合があります。
② 「今なら食べられそう」を優先する
栄養バランスよりも、「これなら少し食べられそう」という感覚を大事にしてよいとされています。時間帯や気分によって食べられるものが変わることも自然なことです。
③ 体に負担をかけにくい形を選ぶ
油っぽさや強い味付けを避け、消化しやすい調理法を選ぶと、体が受け入れやすくなる場合があります。
■ おすすめの食材・食品例
食欲がないときに取り入れやすいとされている食品には、次のようなものがあります。
・豆腐、卵、白身魚などやわらかいたんぱく質
・おかゆ、うどん、そうめんなど口当たりのよい主食
・ヨーグルト、プリン、ゼリーなど冷たくて食べやすいもの
・すりおろした果物や野菜スープ
これらは、量が少なくても栄養を補いやすい点が役立つ場合があります。
■ 簡単に取り入れられるメニュー例
・だしのきいた卵入りおかゆ
・豆腐に少量のあんをかけた温かい一品
・冷やした茶碗蒸し
・具を細かくした野菜スープ
・ヨーグルトにすりおろしりんごを加えたデザート
調理が負担になる場合は、市販品や冷凍食品を上手に使うことも一つの方法とされています。
■ 気をつけたいポイント
無理に「食べなければ」と思うことが、かえってつらさを増す場合があります。食べられない日があっても、自分を責める必要はありません。また、体調や症状は日によって変わるため、「昨日は食べられたのに今日は無理」ということも自然な経過とされています。
不安が強い場合や、体重減少が続く場合には、医師や管理栄養士などの専門家に相談することが勧められることもあります。
■ まとめ
抗がん剤治療中に食欲がないときは、「少しでも楽に、安心して食べられること」を目標にすることが大切とされています。治療や症状の感じ方には個人差があるため、周囲と比べる必要はありません。その時の体調に合わせて、食べられるものを、食べられる形で取り入れていくことが、日々を乗り切る支えになる場合があります。
※本記事は、看護師・管理栄養士である加藤知子が、
医療・栄養の専門的知識をもとに監修しています。
